財務諸表論の計算ではミスなく、素早く問題を解いていく必要があります。
そのためには、問題を解いていく上でのテクニックやコツを身に着ける必要があります。
学校で教えてくれるものもありますが、やはりそれ以上に自分で問題演習を繰り返していくうちに、「こうしたら早く解ける」「こうしたらミスを防げる」と気づくことが多いです。
今回、そして次回にわたって私が解答の際にやっていたテクニック等を紹介していきます。
学校では教えてくれない私独自のものも多くあります。
細かいモノもありますが、少しでも時間短縮のためにと試行錯誤の上でたどり着いたやり方ですので、是非参考にしてもらえたらと思います。
開始直後のメモ書き
効率よく問題を解くため、またミスを無くすためにはメモ書きが重要です。
私も解答の際には様々なメモ書きをしていました。
しかし、むやみにメモ書きをすればいいという訳ではありません。
無駄なメモ書きは解答時間の浪費につながります。
上手なメモ書きをできるかが合格へのカギとなるのです。
以下では、私が実際にやっていたメモ書きを紹介します。
1、開始時間をメモ
まず、開始の合図があったら最初に1時間後の時間を問題用紙の表紙の一番上に書きます。
時間の分数だけ、例えば18時38分に開始した場合には「38」と書きます。
これは私がタイマーではなく、腕時計を時間管理用に使っていたためです。
開始後60分を目安に、解いた問題を解答用紙に書き写すようにしていたので、次の「38」が来た時をタイミングにして時間管理を間違えないようにしていました。
書き写しにはやはり10分から15分はかかるので、遅くとも65分までには問題を解くのをやめて書き写しに移らないとせっかく解いた問題も点数になりません。
上記の方法なら時間管理に頭も時間も使わず、簡単です。
2、計算用紙にメモ
次に、配られた計算用紙をA4サイズに折り、白紙の部分を使って基本事項をメモします。
まず、上部に年度と決算1年後の日付をメモします。
端数処理が四捨五入の場合には年度の下に「ししゃ」とメモします。(切り捨ての場合には何も書きません。)
年度の左には当期の実効税率をメモします。
計算用紙への最初のメモはこれくらいで、後は問題解答中にどんどん追加していく感じです。
問題解答中のメモは後述します。
3、試算表にメモ
次に、試算表にいくつかメモします。
①まず、資産、負債、純資産、収益、費用とを線で区切ってわかりやすくします。
これはよくやられているやり方ですが、ここからが一工夫。
②さらに、減価償却累計額を線で区切ります。
これは、減価償却累計額は後で必ず何度も見返す部分なのでわかりやすくして少しでも見間違えしないようにするためです。
③続いて、その他有価証券評価差額金があるかをチェックします。
あれば、金額を丸で囲み、同様に繰延税金資産の金額も丸で囲みます。
これは、後で有価証券の部分を解くときに注意するようにとの目印で、その時に繰延税金資産の金額も横線を引いて消して、その他有価証券評価差額金の期首戻入後の金額に修正します。
細かいことですが、こういった部分は解き進めるうちにうっかり忘れてしまう所ですので、少しでも注意を向けるようにしておくべきです。(以下④、⑤についても同様に言えます)
④次に、為替差損益があれば横線で消し、試算表の右下に為替差損益を純額でメモ書きします。
せっかく為替差損益の問題を解答できても、あらかじめ記載されている為替差損益を足し忘れてしまったら元も子もありません。
問題を解いているうちに出てくる全ての為替差損益を、この試算表の右下にメモ書きしていくことで、集計漏れを防ぐことができます。
⑤売上戻し、値引、割引があれば金額を丸で囲みます。
売上の方に集計するか、売上割引となるかは問題を解き進めないとわからないので最初は丸で囲むだけにして、金額が確定したらしかるべき場所に集計して試算表の金額は丸囲みごと横線で消します。
これも集計忘れがないように、見直しの時に注意が行くようにするためです。
⑥同様に、固定資産売却損益などの特別損益項目があれば金額を丸で囲みます。
これはたまにひっかけ問題で出題され、あらかじめ記載されてる金額の足し忘れを誘発させます。
こんなひっかけに引っかかるのはもったいないので、注意がいくようにしておきます。
⑦そして、仕上げに試算表のページの下の角を軽く折ります。
この試算表のページに集計をしていくので、素早くページを開くことができるようにしておくのです。
最初からこんなにたくさんメモ書きするのかと思われたかもしれませんが、慣れれば素早くこれらのメモを済ませることができるようになります。
また、最初に問題を解く準備をしっかりとやっておいた方が後々の時間短縮へとつながりますし、ケアレスミスを減らすためにも大切なことです。
終わりに
他にもまだまだテクニックがありますので、次回「財務諸表論計算テクニック2 集計を工夫すれば計算なんて70分で解き終わる」に続きます。