前回の続きで、財務諸表論の計算のテクニックを紹介します。
今回は計算した金額をどのように集計していけば効率的なのかについてです。
集計には多くの時間が使われますので、ここを効率化できればスピードは飛躍的にアップするはずです。
解答数値の集計
一般的には、計算した金額を計算用紙にすべて集計していく方法(計算用紙にB/SとP/Lを作ってしまう方法)がとられますが、これは非常に時間がかかります。
私は「計算用紙に集計していく科目」「試算表に集計する科目」「解答用紙に直接記入する科目」とに分けていました。
計算用紙への集計
計算用紙の左を借方として、左上から売上債権、破産更生債権、貸付金、棚卸資産、減価償却資産を集計します。
そして右側を貸方として、貸倒引当金、仕入債務(関係会社分があれば)、借入金を集計します。
右下の余ったスペースには繰延税金資産負債を集計します。
また、計算用紙の上部の年度の横に関係会社をメモします。
実際の今年の本試験の集計は以下のような感じです。
なぜこれらはわざわざ計算用紙に集計するかというと、これらは単純な集計では問題に対応できないものだからです。
例えば、売上債権は、関係会社分がいくらか、懸念債権がいくらかなどを把握する必要があり、貸倒引当金の計算でも使われます。
また、減価償却資産は、減価償却費、累計額、資産計上額、販管費と製造原価の区分が必要となります。
ですので後から見てもわかりやすいように、それに合わせた特別の集計をした方が解きやすくなります。
ただ特別な集計といっても、自分が見てわかるようにさえすればよいので、できるだけ省略し、簡単なものにします。
上記の計算用紙を見てもらえばわかりますが、一見しても何を書いているのかよくわからないと思いますが、これで十分な集計なのです。
試算表への集計
計算用紙へは複雑な科目を集計していましたが、試算表へは単純な科目(他に影響を与えないもの)を集計します。
試算表の該当科目の横の空いているスペースを使って、そこにプラス、マイナスをしていきます。
記載のない科目については下の方の空いているスペースを使って、貸方借方の別にそれぞれ追加で記載します。(為替差損益もここに集計します)
今年の本試験での試算表の集計は以下のような感じです。
(前回紹介したようにページの下の角を少し折り曲げています。)
あらかじめ問題用紙に記載されている科目名と数値を使って集計していくので、余計な転記を減らし、スピードアップと転記ミス防止ができます。
一般的な方法では、これらを一つずつ計算用紙に転記するため、多くの時間が割かれてしまいますが、上記のような簡単な集計でも十分に解答できます。
解答用紙に直接記入する科目
一部の科目については、試算表にも集計せず、計算できたらすぐに解答用紙に記入します。
例えば、賞与引当金、退職給付引当金、未払法人税等、リース債務などです。
これらは計算の手間がありますが、計算できたらその数値がそのまま答えになり、ほかの数値との集計を必要としないため、すぐに解答用紙に記入することでミスを減らせます。
もし、最後にまとめて解答用紙に記入する方法をとれば、焦ってしまって記入ミスしたり、記入忘れをしてしまう可能性があります。
せっかく時間をかけて計算してもそんなミスをしてしまえば、後悔してもしきれません。
もう答えが出ているモノは早いこと解答用紙に記入するべきなのです。
省略書き
メモや計算用紙への集計を少しでもスピードアップするためには、科目名の省略が有効です。
私がしていた名称の省略をいくつか紹介します。
売掛金→うり×
受取手形→U手
減価償却費→G
為替差損益→かわe
短期貸付金→たかし
その他有価証券評価差額金→そのH
などなど他にもいろいろあります。
また、数値の集計していく時には万単位の数値の時は数字ではなく漢字の「万」を使えば少し早く書けるし、書くスペースも小さく済みます。千円単位くらいまでは「万」を使います。
100,000→10万
83,000→8.3万
終わりに
上記までで紹介したもののほか、退職給付引当金の解答テクニックや有価証券の解答テクニックなどまだまだあります。
(ここにあげていってもきりがないのでこれぐらいにしておきますが、もし気になる方はお問合せをお使いください。)
これらは総合問題を解いていくうちに自然と身についたものばかりです。
自分で見つけたテクニックは問題を解く上で強い味方になってくれるはずです。
是非、自分なりのやり方を見つけて合格をつかみ取りましょう。