社会保険の算定基礎届ですが、みなさんはどうやって提出していますか?
書面での郵送提出の人が多いと思いますが、今はやりの電子申請をしてしまっている人もいるのではないでしょうか。
こんな記事を書いてしまうと怒られるかもしれませんが、はっきり言って電子申請は時間の無駄です。
下手すると書面提出よりも10倍以上時間がかかります。
今回は、「社保の算定基礎届を電子申請してみたけど、面倒くさ過ぎた」という話です。
(注)今回の話は、従業員の少ない小さな会社向けの話です。
社会保険の算定基礎届とは?
簡単に説明すると、年に1回行われる各個人の社会保険料の見直しのための手続きのことです。
社保に加入している会社は、毎年7月10日までに必ず、「算定基礎届」を年金事務所に提出しなければならないのです。
届出と聞くと面倒くさそうなイメージを持ってしまいますが、ごくごく簡単な手続きです。
書面提出なら5分もかからない!
6月中旬ごろに年金事務所からこんな届出用紙が送られてきます。
画像ではすべて空欄になっていますが、実際には会社情報などがすべて印字されたものが送られてきます。
基本的には、記入が必要な箇所は赤で囲んだ部分だけ!
ここには4月~6月までの給料を記入します。
一人につき30秒ほどで書けます。
これで完成! 簡単です!
あとは、年金事務所の事務センターに郵送で送るだけ。
注)同封されているA4封筒を使ってしまうと、切手代が120円かかってしまうので、自前の長封筒に84円切手を貼りましょう。
これだけの簡単な作業なので、従業員数が少なければ5分もかかりません。
それなのに電子申請を推奨してくる…
今回、年金事務所から算定基礎届と一緒にこんなチラシが送られてきました。
「早い」「コスト削減」「利用者が増えてる」など甘い言葉が並んでいますが騙されないようにしましょう。
①早い?
年金事務所側の事務処理が早くなるだけで、こちら側の事務は煩雑さが増すだけです。
保険証の発行などの処理は早いに越したことはありませんが、算定基礎届の処理を早くしてもらっても何の意味もありませんし。
②コスト削減?
確かに電子申請は郵送不要なので、切手代84円の経費が削減できます。
しかし、電子申請自体が煩雑なので処理に時間がかかり、貴重な時間が無駄になってしまいます。
従業員にやってもらっているなら、切手代以上に人件費が無駄になりますし。
③利用者が増えてる?
電子申請の利用者は確かに増えているかもしれませんが、それは大企業であったり、社労士であったり、資格取得届(=保険証の発行がある)であったり、電子申請に適した場面で増加しているだけだと思います。
小さな会社が算定基礎届をわざわざ電子申請する意味は、はっきり言ってありません。
実際に電子申請をやってみた…
電子申請の良さは自分でやってみないことにはわからないと思ったので、今回実際にやってみました。
しかし、それが大失敗!
時間はかかるし、お金はかかるしで良いことは何一つありませんでした。
簡単に説明するとこんな流れでした。
1、まずGビズIDを取得する
取得するためには、印鑑証明書を法務局に取りに行って、申請書と一緒に郵送で運用センターに送らなければなりません。
いきなりアナログですし、時間もかかるしで、ここでもう諦めそうになりますが我慢。
ちなみに、印鑑証明の取得は450円、郵送の切手代は84円かかったので、既にコスト削減の逆を行っています。
郵送提出から1週間ほどで受付完了メールが届くので、ここでようやく電子申請が可能になります。
2、初期登録やらダウンロードやらなんやら…
GビズIDを取得したからと言ってすぐに電子申請できるわけではありません。
GビズIDの初期登録をしたり、電子申請のための届出書作成プログラムをダウンロードしたり、そのプログラムの初期登録をしたりなどなど…。
電子申請を始めるための準備に、時間と手間がかかり過ぎます!
3、そして、やっと算定基礎届の入力
色んな初期登録に手こずりながら、ようやく算定基礎届の入力をしていく段になったのですが、ここではっと気づきます。
赤い部分に注目!
これはまさに書面提出の場合の記入欄と同じ部分!
書面提出なら、ここだけ記入してさっと郵送すれば済んだのに、電子申請に手を出してしまったがために、他の細かい部分まで入力が必要になってしまい、なんて無駄な時間を過ごしてしまっのたかということに気づいてしまいました…。
そして、算定基礎届の入力が終わってもまだ終わりではありません。
申請データを別途取り込んだり、申請情報を入力したりとまだまだ面倒な作業は続くのでした。
4、ようやく電子申請完了!
なかなか長い道のりでした。
初めての電子申請だったので初期登録等に時間を取られたのはわかりますが、まさか1時間以上もかかるとは思いませんでした。
2回目以降はもう少し時間短縮できるとは思いますが、それでも30分以上は時間を取られてしまうと思います。
年に1回なので操作方法も恐らく忘れてしまいますし。
というわけで、次も電子申請をやろうという気持ちには全くなりませんでした。
終わりに
世間では今、何でもかんでも電子化する流れになってきていますが、使う側としては電子化して本当にメリットがあるのかをよく考えた方が良いでしょう。
”電子化=効率化”というわけでは、必ずしもありませんし。
相手側の都合で電子化を促している場合だってあります。
アナログとデジタルにはそれぞれ一長一短ありますので、それぞれを
いいとこ取りして、場面によって使い分けができればベストですね。