最近、年金事務所の調査が増えてきているようです。
年金事務所の調査とは、社会保険に加入している事業所に対して行われる調査で、被保険者が適正かどうか、届出している報酬額が適正かどうかなどの確認がされます。
頻度としては、3~4年に1回くらいで行われます。
また、新たに社会保険に加入した事業所は、通常3か月~半年ほどしたら必ず管轄の年金事務所から調査実施についての通知が届き、初めての調査が行われます。
調査と聞くと、税務調査のような、厄介でめんどくさそうなものをイメージしてしまいがちです。
しかし、この社会保険の調査は全くもって簡単なもので、気構えして行くと拍子抜けしてしまうような調査なのです。
では、どんな感じの調査なのでしょうか。
通知が届く
ある日突然、年金事務所から調査実施についての通知が届きます。
その通知には、調査の日時、場所、持参するものなどが書かれています。
日時は、その通知日の3週間後くらいで勝手に決められてしまっています。
「強引だ」と思ってしまいますが、都合が悪ければ電話で希望の日時に変更することが可能です。
日時を変えたからといって、調査で不当に扱われるということはないので、この際自分の好きな日時に積極的に変えたほうが良いでしょう。
また、どうしても都合が悪ければ代理の人に行ってもらうことも可能です。
(できるだけ自分(社長自身)で行くのをおススメします。)
場所は、管轄の年金事務所が指定されます。
近くにあればいいのですが、年金事務所は辺鄙な場所にあることが多いです。(勝手なイメージかもしれませんが…)
また、年金事務所というアウェイな場所での調査ですが、それほど気にする必要もありません。
自分の事務所に来られるよりはよっぽどましです。
書類の準備
通知には、当日持参するものとして以下ものが記載されています。
- 労働者名簿・雇用契約書
- 源泉所得税領収証書
- 賃金台帳、賃金支払明細書、給与振込明細書のいずれか
- 出勤簿又はタイムカード
- 被保険者資格取得届、算定基礎届、月額変更届、賞与支払い届等の決定(改定)通知書
- 就業規則、給与規定
- 事業所のゴム印、代表者印
何やら持っていくものが多くて準備が大変そうな感じがします。
しかし、社長と社員数人程度の小規模な会社では、備え付けている書類も限られているはずですので、とりあえずあるものだけ持って行けばいいのです。
具体的には、小規模な会社の場合でしたら、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、決定通知書、源泉所得税領収証書くらいです。
さらに、社長一人で従業員がいない会社なら、労働者名簿も出勤簿も不要です。
(社長一人なのに、そのような書類を作っていることはまず無いでしょう。)
無い書類を持って行くことはできないのです。
調査官に尋ねられても、「社長一人なので作っていない」と言えば納得してもらえます。
調査へGO
調査当日は年金事務所の調査会場に案内されます。
(総合受付で調査通知を見せれば場所を教えてくれます。)
調査会場は、会議室をパーテーションで区切って、各ブースが用意されています。
そこで、それぞれのブースに調査官一人が付いて、調査の対応をします。
調査が始まるとまず、調査通知を調査官に渡して、調査官はその会社の資料を取りに行きます。
戻ってくると、こちらが持参した書類に目を通します。
- 賃金台帳の金額と届出されている報酬の金額に間違いはないか?
- 月額変更すべき従業員はいないか?
- パートやアルバイトなどで加入すべき従業員はいないか?
- 賞与の届け出は漏れていないか?
- 源泉所得税領収書の金額とずれはないか?
などなど色々と確認されるのですが、むこうも慣れたものなのか見る気がないのか、あっという間に終わります。
社長一人の会社なら、問題なければ2~3分もかかりません。
調査の途中では、会社の事業内容(何を商売としている会社なのか)やちょっとした世間話や雑談なども挟まれることもあり、それほど堅苦しい調査でもありません。
小規模な会社なら、長くても10分程度で調査は終わります。(問題なければ)
たぶん、年金事務所までの往復の時間の方が長いことになるでしょう。
そして、年金事務所からの帰り道には、「こんな感じなら、そんなに心配する必要はなかったなぁ」と思うはずです。
終わりに
上記の話は、あくまで従業員が少人数の小規模な会社の話です。
(従業員が多ければ必要な書類も増えて、準備はその分めんどくさくなります。)
小規模な会社でしたら調査の準備も、実際の調査もほとんど労力はかかりません。
ですので調査の対応を外部委託せず、社長自ら対応しても十分大丈夫なのです。
というよりむしろ、こんなしょーもない簡単なことで外部委託に料金を払っていたらもったいないので自分でやるべきです。
自分で実際に準備してみると、社会保険の知識も増えますし、注意点もわかって今後のためにもなります。
そして、簡単だということもよくわかるはずです。
ただし、油断は禁物。
事前の準備や下調べで手を抜くと思わぬ所でヒヤッとしてしまうかもしれませんのでご注意を。