一昔前、巷で大騒ぎになった「年金記録問題」。
基礎年金番号に統合されていない持ち主不明の年金記録、約5,095万件の存在が明らかになった年金問題です。
問題発生から10年近く経ちますが、未だに多くの年金記録が持ち主不明となっているようです。
特に記録漏れの発見が多い事案は以下の3パターンのようです。
- 転職が多い
- 姓が変わったことがある
- 色々な名前の読み方がある
この3パターンだけで記録が見つかる人の約9割を占めているとのこと。
単純なようで複雑な年金記録問題。
今回、祖母の年金振込通知書を見ていて少し気になったので、年金事務所に相談に行くことにしました。
果たして、年金記録問題が発覚するのでしょうか?
年金事務所での年金相談とは?
全国の年金事務所では、年金の相談を受け付けています。
自分の住所地を管轄する年金事務所以外でも、どこの年金事務所でも相談できるようです。
(例えば、勤務先の近くの年金事務所でもOK)
飛び込みでの年金相談でも大丈夫なようですが、混雑していたり資料確認に時間がかかる場合もあるので、事前予約してから行くのがおススメです。
(ただ、予約のための電話が非常に繋がりにくいので根気よくかけ続けましょう)
年金相談しに行くのは本人でなく、代理人でも大丈夫です。
その場合には、委任状などの書類が必要となります。
また当然ことですが、本人の基礎年金番号が必ず必要となります。
それ以外にも事前に下調べしておくと役に立つのが、①旧姓、②過去全ての勤務先とその勤務時期、③配偶者の勤務先と勤務時期、などです。
代理人が行く場合には、本人にしっかりと確認しておきましょう。
今回確認したかったこと
祖母は遺族年金の受給者なので、遺族共済年金の振込通知書がありました。
しかし、本人の基礎年金の振込通知書が見当たらなかったので祖母に聞いてみたところ、基礎年金は支給されていないとのこと。
遺族年金をもらっていても、本人の基礎年金は支給されるというのを知っていたので不思議に思い少し自分なりに調べてみました。
すると、以下のことがわかりました。
- 昭和61年3月以前は3号被保険者制度が無かった
(サラリーマンの妻が夫の扶養として無料で加入できる年金制度のことです) - 昭和36年4月~昭和61年3月までの期間を専業主婦はカラ期間とできる
(加入期間に加算できるが、年金額には反映されない期間のことです) - 昭和36年3月以前は国民年金制度は無かったが、厚生年金制度はあった
つまり、祖母が1か月でも祖父の配偶者として3号被保険者であったなら少額でも基礎年金は出るはずということです。(祖母は子供を産んでからはずっと専業主婦でした)
また、祖母が若いころに自分の勤め先で厚生年金に加入していれば、基礎年金が出るはずということです。(本人によると、子供を産むまで10年ほど働いていたとのこと)
この2点を確認するために年金事務所に相談に行くことにしたのです。
年金相談へGO
年金事務所に行くと、事前予約していたので待ち時間なしで案内されました。
早速年金記録を調べてもらうと、国民年金の加入記録は全く無いとのこと。
若いころ働いていたころの年金記録もありませんでした。
上記の疑問点をぶつけてみると、確かに1か月でも国民年金の加入期間があれば基礎年金は支給されるとのこと。
さらに詳しく調べてもらうと、共済年金と厚生年金は平成27年10月に一元化されて情報は共有されてはいるが、いつからいつまで加入していたという情報が反映されていないということがわかりました。
結局、年金事務所ではこれ以上はわからないので、共済年金(現在は企業年金基金となっている)に直接確認するように言われ、その電話番号を教えてもらいました。
企業年金基金へTEL
教えてもらった企業年金基金の番号ににさっそく電話してみました。
ずいぶん昔の年金記録についてのことでしたが係の人はとても親切に対応してくれました。
そこには、確かに祖母の厚生年金(共済年金制度の前身の)の加入記録がありました。
しかし、なんと昭和35年に「国民年金制度ができる直前」に退職していたことがわかりました。
退職までは厚生年金に加入していたのですが、それも退職時に脱退手当金として清算したようです。
となると、脱退手当金の計算対象となった年金加入期間は年金額の計算には反映されませんので、この分の基礎年金は当然もらえないことになります。
(せっかく厚生年金に加入していたのに何だかもったいない話です)
しかし、3号被保険者としての記録があるかもしれません。
祖父も同じ職場でしたので、続けて祖父の年金記録を調べてもらいました。
すると、なんと昭和60年に「3号被保険者制度の開始直前」に早期退職していることがわかりました。
となると、祖母は当然3号被保険者になったことは無く、基礎年金ももらえないということになります。
祖父が病気を患っていたのは知っていましたが、まさか早期退職しているとは思いませんでした。
(定年まで勤めていれば祖母の基礎年金も少額ながらもらえたはずなので、これまたもったいない話)
しかし、こんな60年以上も前の年金記録でもしっかりと残っているというのは大したものです。
(某国の社会保険庁とは大違い)
おかげで納得がいきました。
結局、祖母の基礎年金は、「カラ期間で25年の加入要件は満たしているが、年金額の計算に反映される加入期間が1か月も無かったので1円ももらえない」ということだったようです。
終わりに
年金制度は非常に複雑で、素人が少し調べたくらいではわからないこともたくさんです。
なので自分の年金額がこれで正しいのだろうかなどと深く考えてみることも少ないのだと思います。
しかし、年金は自分が死ぬまで付き合うこととなる大事なパートナーです。
自分が何となく受け取っている年金でも、もしかしたら年金問題に関わっている可能性だってあるのです。
一度、自分の年金記録をしっかり調べるために年金事務所に年金相談に行ってみるのもいいかもしれません。
問題が無かったらそれで良し。
自分の年金について調べるのは結構面白いものです。