”世帯分離”って知っていますか?
何となくイメージするのは、”世帯を分ける”ということだと思います。
しかし、世帯分離にはそんな単純な言葉では片付かないくらいものすごいメリットが潜んでいます。
ただ手続きするだけで、人によっては年間40万~50万円の節約が可能となります。
これを知らずに何百万円と損している人も中にはいるはずです。
今回はそんな世帯分離のお話です。
世帯分離とは?
”住民票上の世帯から世帯員の一部を分離して、世帯を分けること” を言います。
通常、同じ家に住んでいれば同一世帯として住民票に記載されているはずですが、この手続きをすることで同一住所に住んでいながら別々の世帯とすることができるのです。
詳しくは後述しますが、この世帯を分けるということに、実はものすごいメリットがあるのです。
世帯分離の方法
これはとても簡単。
市役所の市民課に行って世帯分離したいと言えば、用紙を渡されるのでその場で記入して提出するだけです。
10分もあればできます。
必要なのは、印鑑と身分証明書のみ。
(市によって異なる場合あるので事前に確認すべきです。)
なお、この手続きは世帯分離する本人ではなく、今まで同一世帯だった人でもすることができます。
高齢のため本人が手続きに行けない場合でも、家族が代わりに手続きできるのです。
また、そんなに得なら過去に遡って世帯分離したいと考えられる人もいるかもしれませんがそれは無理のようです。
世帯変更日は、届出書提出日から遡って14日以内の日付としなければならないからです。
そのすごいメリットは何?
他にも色々あると思いますが、ざっと挙げるとこんな感じ。
- 後期高齢者医療保険料が下がる
- 介護保険料が下がる
- 高額医療費が下がる
- 高額介護サービス費が下がる
- 入院・入所の食費居住費が下がる
見てわかる通り、高齢者向けのサービス費用が多いです。
特にメリットが大きいのは、親が介護保険施設に入所している場合です。
施設サービス費、食費、居住費が従前よりもかなり安くなります。
人によっては月5万近く安くなることもあります。
年間にすれば60万です。
これはデカいです。
また、親が施設に入所していなくても十分メリットはあります。
高齢者なら必ず、「介護保険料」と「後期高齢者医療保険料」を払っているはず。
これが年間合わせて5~6万は安くなります。
では、なぜ安くなるのか?
簡単に言いますと、介護保険料などは世帯の所得を合算して保険料やサービスの費用を決めているからです。
今の国の制度では、「世帯全体で稼ぎがあるなら優遇せず、世帯全体の稼ぎが少ないなら優遇しましょう」となっています。
そして、その世帯判定は”住民票上の世帯”で行われます。
なので、ただ単に書類上で世帯分離の手続きをすれば、優遇される世帯に早変わりするということなのです。
なお、優遇を受けるために別途、世帯分離の手続き後に役所の各担当課で手続きが必要となるものもあります。
こういうメリットは大抵、役所の方からは教えてくれませんので、こちらで調べて積極的に動かないといけません。
まさに知っている人だけが得をしているのです。
メリットがあればデメリットも
- 74才以下なら国民健康保険料が増える可能性がある
- 高額療養費の世帯合算ができなくなる
- 職場によっては家族手当がもらえなくなる
簡単に挙げるとこんなデメリットがあります。
しかし、高齢の親を世帯分離する場合は大抵、メリットの方が大きくなります。
もし不安なら事前に専門家に相談してみると良いでしょう。
終わりに
こんな方法で優遇を受けるのは倫理的にいかがなものかという問題もあります。
しかし、国の制度がそうなっている限りは違法でも何でもありません。
この不況の世の中では、受けられるメリットは何でも受けておいた方が良いと考える人もたくさんいるはずです。
知らない人が馬鹿を見ているのです。
これを知って皆さんならどう行動するでしょうか。
(注)世帯分離は違法ではありませんが倫理的に問題だという意見もあります。世帯分離を行う場合にはご自身の判断と責任でお願いします。