法人税法と所得税法はどちらを選ぶべきなのか? 両方受験してみて思うこと

法人税と所得税テキスト

税理士試験では、法人税法か所得税法のいずれかを必ず選択しなければなりません。

このどちらを選択するかは、受験生を悩ませます

「簡単な科目で早く合格したい」、「実務でも役に立つ方を勉強したい」など

選択にあたっての判断基準は人それぞれだと思います。

今回は、両方とも受験し合格した私わたしの経験からそれぞれの科目の特徴など科目選択の参考になることを書いていきます。

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簡単なのはどっち?

まず、一番気になるのはこれだと思います。

楽に勉強できるならそちらを選びたい気持ちはよくわかります。

しかし、法人税法も所得税法もどちらもボリュームは十分過ぎるほどの科目ですので、簡単と言うことはありません。

どちらも時間をかけて勉強しないと合格はできません。

簡単ということではなく、勉強しやすさで言うならばわたしは所得税法だと思います。

所得税法は個人の課税についての勉強ですので、自分にとっては身近なことで興味を持ちやすく、勉強していて面白いと感じることができます。

また、法人税法のように合併や分割などの高度な知識は出てきませんので、難しすぎるということもありません。

法人税法では、大規模な法人で使われるような知識で、実務ではあまり出てこないようなことも勉強しなければなりません。

もし自分の勤めている事務所が中小の会計事務所なら、そのような知識はまず使うことがありませんので、勉強するにしてもとっつきにくいことになります。

合格しやすいのはどっち?

早く税理士試験に合格したいと考えている人にとっては、合格のしやすさが気になるところです。

これは上記の「簡単なのはどっち?」と同じ話ではないかと思われたかもしれませんが、実は違います。

では、どちらが合格しやすいのでしょうか?

合格率で見てみますと

例えば第65回(H27年)の合格率は

法人税11.1%  所得税13.2%

ですので一見、所得税の方が合格しやすそうに見えます。

しかし、わたしは法人税の方が断然合格しやすいと思います。

それはなぜなのか。

実は受験者数の多さが、合格しやすさの重要なポイントなのです。

法人税法と所得税法では受験者数が全然違います。

第65回(H27年)の受験者数は

法人税6,079人  所得税2,005人

となっており、法人税の受験者は所得税の3倍以上です。

受験者数が多いということは受験者の質も随分ばらつきが出てきます。

これだけの人数がいれば、記念受験の人も多くいますし、みんな法人税を受けるので自分も受験してみるという受動的な考えの人も多くいます。

また、会計事務所への就職では法人税の受験経験があれば有利と考えてただ受験しただけの人もいますし、簿記と財表の次の受験で初の税法受験という人も多くいます。

一方、所得税の受験者は、法人税を合格済みで続いて所得税も合格してやろうという国税三法合格狙いの猛者がいるし、敢えて受験者の少ない所得税で合格者に入ってやろうという強い気持ちを持った人も多くいます。

表面上の合格率は所得税の方が高くても、実際は所得税の受験者レベルが高いため合格しにくいように思います。

法人税の受験者がこんなに多いのも、受験者たちが法人税の方が合格しやすいと感じているからなのかもしれません。

実務に役に立つのはどっち?

合格のことだけでなく実務でのレベルアップも考えている人にとっては、実務で役に立つ方を受験したいと思うことでしょう。

では、どちらが実務に役立つのでしょうか?

こう言ってしまっては元も子もありませんが、どちらも実務では必須の知識となります。

法人税は毎月の申告で必要ですし、所得税は確定申告の時期に必要です。

敢えてどちらが役に立つかと言うなら、わたしは法人税の方が役に立つと思います。

毎月の実務で使われるため、この知識がなければ実務をできません。

そして、法人税の申告書は所得税の申告書よりも複雑なため、一度体系的に勉強しておいた方がよいです。

申告ソフトが申告書を作成してくれると言っても、やはりその中身はしっかりと理解して申告するべきでしょう。

また、実際に会計事務所の求人でも法人税の合格者又は受験経験者を求めている所も多いです。

法人税の方が就職にも有利になると思います。

一方、所得税は申告書の作成が年に1回の確定申告の時期のみとなります。

そして、申告と言っても簡単な2か所給与や医療費控除のみの申告などもありますし、難しい譲渡所得の申告もあります。

所得税の勉強をしていなくても、簡単な申告なら手引きを見ながらでも十分できます。

また事業所得の申告も、法人税の知識があれば何とかなります

わたしも会計事務所に就職したての頃は手引きを見ながら簡単な申告をしていました。

しかし、譲渡所得の申告となると、特有の知識が必要となってきます。

しっかりと勉強していなければミスをしてしまう可能性もあるでしょう。

終わりに

ボリュームの一番多い科目である法人税と所得税の受験は、税理士試験の山場です。

どちらを選択するかで今後も変わってきます。

早く税理士試験を終わらせたいのか、勉強したい科目があるのか、なりたい税理士像があるのか。

色々判断基準はありますが、ここが一番の山場ですのでしっかりと考えて選択したいものです。

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