先日、面白い相談を受けました。
去年ふるさと納税をやり過ぎてしまったかもしれないので、ちょっと見て欲しいというもの。
その人は100万円のふるさと納税をしていました。
確定申告書等の資料を見せてもらって、2,000円の負担で済む寄附金限度額を計算してみると、なんと47万円がその人の限度でした。
ということは、53万円(=100万円-47万円)が無駄になってしまったのでしょうか?
実は、違うんです。
ふるさと納税をやり過ぎて精神的ダメージを受けているあなたも、これを読めば元気が出るかも!
※下記の説明はすべて「万円」単位で四捨五入又は切捨しており、さらに復興特別所得税やその他細かい論点を無視したざっくりとしたものです。参考にされる場合はご注意ください。
ふるさと納税の寄附金限度額の簡単な求め方
実質2,000円の負担で済ませるためには、限度額の範囲内でふるさと納税をする必要があります。
ほとんどの場合は下記の計算式で求めることができます。
住民税の所得割×20% ÷(100%-10%-所得税率×1.021)+2千円 =寄附金限度額
計算式についての細かい話は、他にもっと詳しいサイトがあるので、そちらをご覧ください。
今回は、この寄附金限度額を超えて寄附(ふるさと納税)してしまったという場合のお話。
なぜ限度額を超えてしまうのか?
理由は様々でしょう。
- 収入予測が大きく外れてしまった
- 限度額シミュレーターの使い方を間違えた
- ローン控除を考慮していなかった
- 欲張って予想限度額ギリギリを狙いすぎた
今回相談を受けたのは、シミュレーターの使い方を間違えたパターンでした。
ネットで探せば、寄附金限度額を自動計算してくれるサイトがたくさんありますが、その多くはサラリーマン用となっています。
個人事業をしていたり、不動産所得があったりという場合には対応していません。
サラリーマン用のシミュレーターに、間違って他の所得を入力してしまうともう大変です。
今回の間違いも、給与収入を入力する欄に、「給与収入+不動産収入」を入力してしまったので、寄附金限度額は50万円以上も多く計算されてしまっていました。
シミュレーターは便利ですが、使い方をよく確かめてから使うべきです。
では、もし翌年になってから、限度額を超えていたことに気付いたらどうすればいいのでしょうか。
やってしまったことはもうどうしようもないので、心を落ち着けて以下の説明を読んでみてください。
少しは精神的ダメージも和らぐかもしれません。
限度を超えてふるさと納税をした例
前提:課税所得1,350万円(所得割135万円)の人が100万円のふるさと納税をした
この場合の寄附金限度額を計算してみましょう。(※端数はすべて無視)
135万円×20%÷(100%-10%-33%)=47万円
47万円が限度額となります。
この人は100万円を寄附しているので、53万円(=100万円-47万円)もふるさと納税をし過ぎていることになります。
しかし、この人は53万円まるまる損してしまったのでしょうか。
実は違うんです。
実はほとんど損してない
どういうことかと言うと、先ほどの具体例で考えてみましょう。
ふるさと納税をすることによって減る税金は以下のようになります。
①所得税
33万円(=100万円×33%)
②住民税(基本部分)
10万円(=100万円×10%)
③住民税(特例部分)
27万円(所得割の20%限度に引っかかるため。)
①+②+③=70万円
つまり、ふるさと納税を100万円した結果、70万円は税金が減ることによって回収できるのです。
では残り30万円はどうなのかというと、これは既に回収できているのです。
なぜなら、ふるさと納税をすることで返礼品をもらっているからです。
返礼品の価値は、多くの自治体で寄附金額の30%程度とされています。
なので、30万円相当(=100万円×30%)の返礼品を既に受け取っていることになるのです。
今回のケースでは、100万円のふるさと納税をした結果、
70万円の税金が減り、30万円の返礼品をもらって、収支トントンということです。
53万円も損したと思いきや、そんなことはなかったのですね。
終わりに
ふるさと納税のやり過ぎは、本人が気付いていないだけで案外やってしまっていたりします。
今回のケースのように損していない場合もありますが、損してないだけであって全く得もしていません。
そもそも、せっかくの得する機会を失っているので、機会損失と言えます。
ふるさと納税をするならよくよく注意してやりましょう。