最近はサラリーマンでも、小遣い稼ぎのために株式投資をしている人が少なくありません。
ネットを使って手軽に取引できるようになったというのが大きいのでしょう。
株式投資から得られるリターンは、株の値上がり益と配当です。
しかし、儲かったからには税金はつきもの。
儲かった分から20%が税金として持って行かれることになります。
納税は国民の義務なので、仕方ないと言えばそうなのですが、サラリーマンの必死の小遣い稼ぎから税金が取られてしまうのはかわいそうでもあります。
今回は、そんな株式投資での税金を少しでも少なくできる「ちょっとせこい節税術」を紹介します。
これは所得の低い人しか使えない方法ですので、自分は高給取りだという人は見ないで下さい笑( ´∀` )
前提となる話
ちょっとせこい節税術を紹介する前に、配当所得の課税方式についてお話しておきます。
配当所得は「総合課税」「申告分離課税」「申告不要制度」のいずれかを選択できるというのは有名な話です。
そして、課税方式によって税率は異なり、また、配当控除を使えるかどうかも変わってくるので、その選択次第で節税が可能となります。
簡単な説明にしておきますが、
例えば、所得の低い人は税率ラインが低いので、総合課税を選択して申告し、さらに配当控除を使うと、配当に係る所得税を無くすことができます。
累進税率が5%ラインの人に至っては、配当に係る所得税を無くすどころか、さらに他の所得に係る税金を減らすこともできるのです。
(これが配当控除の凄さ!)
しかし一方で、総合課税を選択した場合には、申告分離課税(又は申告不要)を選択した場合よりも必ず住民税が多くなるというデメリットもあります。
これは住民税の税率が累進税率ではなく一律10%で、さらに配当控除も少ないことから起こってしまうのです。
そして、今回の「ちょっとせこい節税術」はこのデメリットを無くしてしまえるという画期的な方法なのです。
住民税の申告!?
その節税術は、少し手間がかかりますが至って簡単な話です。
所得税の確定申告で配当所得を総合課税で申告するというのが前述の話。
そこからさらに、4月末頃までに住民税で配当所得を申告不要(又は申告分離課税)とする申告をするのです。
「そんな別々の課税方式で申告できるんかいな?」と思われたかもしれませんが、
なんと今年からできるのです!
(実は以前からも可能だったという説もあります)
平成29年度税制改正で、所得税と住民税とでは配当所得について異なる課税方式を取ることが可能ということが明確化されました。
今までは所得税と住民税とで課税方式を一致させるというのが一般的な理解だったのですが、この明確化によって今回の「ちょっとせこい節税術」が可能となったのです。
市によって対応はまちまち
平成29年度改正での明確化なので、各市町村でも準備に追われてバタバタしているようです。
なので、平成28年分の申告から対応してもらえるのかどうかは市町村によって異なるとのこと。
申告する前に一度、自分の住んでいる市に確認の電話をした方が良いでしょう。
ちなみに伊丹市の場合は、平成28年分の申告から対応してくれます。
さらに親切なことに、市のHPにもその説明が載っていました。
市によっては、分離課税の申告書すらHPに掲載していない場合もある(尼崎市)ので、その対応は全然違うようです。
今年の改正で急に決まったことですので、仕方ないのかもしれませんが。
住民税申告は早めに!
注意すべきなのは、住民税申告を期限に間に合うようにするということです。
期限と言っても、確定申告の期限(3月15日)ではありません。
期限は、住民税の納税通知書が送達される日(概ね6月上旬頃)までです。
これを過ぎると、自動的に所得税で選択した課税方式が住民税でも採用されるようです。
また、伊丹市に確認したところ、手続きの関係もあってできれば4月中には申告をしてもらいたいとのことでした。
余りにギリギリになるのはまずいかもしれません。
今年の申告はもう期限が迫っていますので、やってみようと思った方はお早めにどうぞ。
結局どれだけの節税?
簡単にするため、ざっくりした計算で説明しますが、
<例1>所得税率5%ラインの人(給与収入400万円くらいの人)が、5万円の配当を「総合課税で申告」する場合(今までの節税)
所得税の還付は1万円、
一方、住民税の増加が1,100円となり、
差し引きで8,900円の節税となります。
<例2>所得税率5%ラインの人が、5万円の配当を「所得税では総合課税で申告」し、「住民税では申告不要で申告」した場合(今回の「ちょっとせこい節税術」)
所得税の還付は1万円、
一方、住民税は変わらず、
差し引きで1万円の節税となります。
つまり、今回の「ちょっとせこい節税術」を使うことで今までの節税額よりもほんのちょっとだけ(上記例では1,100円)お得になります。(ホンマにちょっとだけ!)
場合によりますが、配当額の2.2%くらいの節税です。(5万円の配当なら1,100円くらい)
配当が多ければ節税額も大きくなりますが、何十万円も配当のあるサラリーマンは滅多にいないでしょう。
あまりにもせこすぎる金額ですと、住民税の申告をする労力に見合わないかもしれません笑
終わりに
今年から可能となった今回の節税術ですが、実際にやっている人は少ないようです。
(やはり労力に見合うほどのお得感が無いからでしょうか(-_-;) )
今回私も申告してみたのですが、市役所の係の人もまだ慣れていない感じで、周りと相談しながら対応してくれました。
聞いてみると、伊丹市では今回、10名くらいしかこの方法での住民税の申告はされていないとのこと。(少なっ!?)
伊丹市のHPには今回の申告方法が記載されているのですが、そこまで読み込んでから申告に来る人は少ないみたいです。
また、対応がまだ十分間に合っていないことについては、来年の申告までには業務手順や書類等も整備されてきっちりと対応できるようなっているはずですと言っていました。
(上からの急な決定に慌てさせられる職員の人も大変です。)
今回は普段あまりすることのない個人住民税の申告ということで、色々と勉強になり面白かったです。
せこい節税でも「節税は節税」!
ちりも積もればマウンテンですので、気になった方は是非試してみてください。
(注)今回の記事は簡単に説明するために色々と端折って書いています。説明不足の点についてはご容赦ください。