女性活躍推進法というのができ、国を挙げて女性の社会進出を後押ししてくれる世の中になりました。
最近では女性の経営者の方もだいぶ増えてきている印象です。
今回は、そんな女性役員の方が知っておくべきお得な話。
出産時に使える2大特典
出産時は何かとお金が入り用となりますが、この2大特典を知っておけば数十万円単位で得することができます。
その2大特典とはこちら!
- 出産手当金
- 産休中の社会保険料の免除
どちらも社会保険のお話です。
実は、従業員とは違って役員は何かと制度上の制限がかかるので、従業員に比べて受けられる恩恵は数少ないのです。
例えば、従業員なら「育児休業期間中の社会保険料の免除」を最長で3年間も受けることができますが、役員ではダメです。
また、雇用保険にも出産に関わる給付制度「育児休業給付」があり最長2年の給付が受けられますが、役員は「労働者」ではないので雇用保険での恩恵は受けられません。
出産とは関係ないですが、同様に、役員は失業保険給付や労災保険の給付も受けられません。
役員が受けられる数少ない恩恵は余すことなく受けたいところです。
それでは、この出産時の2大特典を具体的に見ていきましょう。
出産手当金
「出産育児一時金」(出産した人なら誰でも42万円貰えるというアレ)と名前が似ていますが、似て非なるものです。
「出産手当金」とは簡単に言うと、働く妊婦さんが出産のために働けない期間について、給料をもらえない代わりに給付を行うという制度です。
この給付を受けるためには妊婦さん本人が社会保険に加入している必要があります。
色々と細かい要件もあります。
詳しくは協会けんぽのHPを参照してください。
この給付では給料のおよそ3分の2くらいの給付を受けることができます。
例えば、月30万円の給料をもらっていた人であれば、月20万円くらいの給付となります。
給付日数は最大で98日分(予定日のずれによる加算あり)、つまり約3か月分の給付(上記の例で言えば約60万円!)を受けることができるのです。
ただし、産前産後休業中に会社から給料をもらっているとその分だけ給付が減るので注意が必要です。
役員の場合には、「産休中は役員報酬を支給しない旨」を株主総会等で決議して、役員報酬をゼロ円にしておきましょう。
あくまで会社から給料をもらえない分の補填としての給付なのです。
産休中の社会保険料の免除
社会保険に加入しているなら、毎月社会保険料が給料から天引きされます。
しかし、産休中は給料が貰えないのに社会保険料を負担しなければならないとなると、妊婦さんの負担が大きくなります。
そこで、産休中は社会保険料を免除してくれるのというのがこの制度です。
制度の詳細は日本年金機構のHPを参照してください。
例えば、30万円くらいの給料をもらっている人であれば、毎月42,000円くらいの社会保険料を払っています。
これが産休期間中については最長3か月分を免除してもらえるのです。
また、上述した出産手当金とは違い、産休中に会社から給料をもらっているかどうかに関係なく免除されます。
でも出産手当金も受けたいのであれば、やはり無給にするのがベストです。
さらに、社会保険料は会社と従業員とで折半での支払いですが、会社の負担分についても免除されます。
会社にとってもおいしい制度なのです。
女社長こそ、この2大特典が効果的!
サラリーマンでもこの制度は受けられますが、やはり効果絶大なのが同族会社の女性経営者です。
なぜなら、実質的には「会社=自分」だからです。
この制度を使えば、本来なら会社が払う役員報酬を国が代わりに給付をしてくれるので、会社にとって大きな負担軽減となります。
また、社会保険料の負担も、本人分と会社分の両方が免除されるので、そのお得感も2倍となります。
会社と一体である女性経営者にとっては、このおいしい制度を使わない手はないでしょう。
終わりに
経営者は経営のことに集中しがちで、こういった業務外の話にまでは気が回らないことも多いはず。
しかし、見過ごしてしまえば大きな損をすることもあります。
そういったことを助言してくれる専門家が周りにいると便利ですね。